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| 拙者の名は、聞き耳半蔵。日々、忍術を習得せんと精進する一介の忍者でござる。拙者の使命は、山を下りて忍法を使いこなし、男女の"色恋沙汰"を聞き出すこと。何故、忍びの者にそのようなことが必要か、それはお師匠様曰く、人情の機微を知るため。拙者はその尊いお考えに応えるべく、コーヒー忍者を襲名したでござる! |
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| 忍忍。ここは東京の某所、なかなか美味しい「きゃらめるまきあーと」を出す店でござるが、拙者はまず人目で店内の客層を見極め、めぼしいカップルのいるテーブルを探す。すると、窓際のぽかぽかと気持ちのよさそうな席に、タンクのような体躯の男が小鹿のように華奢な四肢の見目麗しい女にのしかかるように話しているのが見えるではないか。しかも、小鹿はその猛獣に怯えた態はなく、優しく微笑みかけいかにも幸せそうで・・・これは、本物のカップルなのでござるか!? はっきり申すが、この2人はウォルト・ディ●ニー真っ青の美女と野獣っぷりを発揮しているでござるぞ! |
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男女の仲はまことに解しかねる、拙者はそう思いながら何食わぬ顔でカップルの隣の席に陣取った。
しかし、そう思ったのもつかの間、拙者が席に着きカップに口をつけると同時に事件は起きた。なんと、小鹿ちゃんが「ねぇ、クマちゃん?アングリー?それともラブリー?」などと唐突に! 拙者は刹那、その慣れない横文字に当惑したが、すぐに取り直し、その幼きバンビのような潤んだ瞳を垣間見た。 |
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| 「この??△がっ」とでも言って小鹿ちゃんを叱りつけてやりたいところだが、ここは公共の場。むむむ、自制せねばならぬこういうときはやはり、忍法"シャットアウトの術"に限る。見たくないものは見ない、さすれば自ずと怒りも消えようぞ。拙者はスマートに懐から「さんぐらす」を取り出し、蛍光灯の瞬く店内で異彩を放つ存在となった。 |
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拙者の任務は無論、見ることではなく聞くこと。このカップルを直視するのは、拙者にとって痛すぎる故、この場合"シャットアウトの術"は最適なのでござる。あとはさりげなく店を出て、うららかな春の日射しの中へ颯爽と踊り出るだけ。さらば、雪山の
イエティとか弱き小鹿よ。あしからず。 |
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| 今回の教訓は、「美女と野獣現象」は日常茶飯事である、ということでござる! 周りが「何故あんな男とぉお!」などと激昂してみたところでどうにもならぬのが、美女と野獣の関係性。しかるに、拙者は"シャットアウトの術"によりこのガラスのハートを閉ざしたのでござる。 |
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