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| 拙者の名は、聞き耳半蔵。日々、忍術を習得せんと精進する一介の忍者でござる。拙者の使命は、山を下りて忍法を使いこなし、男女の"色恋沙汰"を聞き出すこと。何故、忍びの者にそのようなことが必要か、それはお師匠様曰く、人情の機微を知るため。拙者はその尊いお考えに応えるべく、コーヒー忍者を襲名したでござる! |
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| 忍忍。今回は忍者中学校の同窓会、さしずめ居酒屋忍者といったところでござるが……「おう、半蔵!」と声をかけてきたのは、鎌使いの梅軒。お師匠様の下での同期でもあるこの男とは長い付き合いだ。拙者と梅軒とは同じ釜の飯を食い、血と汗と涙を流して切磋琢磨し合った仲間でござる。「おう、梅軒(←ばいけん、と読むのでござる)。相変わらずだな!」……む、あちらにいらっしゃるのは、く ノ 一のお銀さんではござらんか! 今日はまた一段と美しい! |
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| 彼女と席が隣になったときは舞い上がったでござるなぁ……なんて呑気なことを言ってはおられぬ! この千載一遇のチャンス、“カメレオンの術”を使わねば! この術は、単なるウーロン茶をウーロンハイに見せつける(注:飲酒を禁じられている)奥義であり、酒の力を借りたふりをして口説くという偽装術である。つまり、平たく言えば、酔っ払っちゃって締まりのなくなった男をうまく演じるということでござる。拙者は早速、千鳥足でお銀さんに近づき、「お、お銀しゃん、あんたお銀さんだあぇ?」と呂律の回らない声で話しかけた……が、お銀さんは明後日の方向を向きこう言った「あ、梅ちゃん♪」。また、それに呼応するように「お銀ちゃん!」と梅軒。もしや、この2人……! |
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| そしてその後は拙者の出る幕はなく、他の者たちの質問攻めが始まったでござる。「あら、お銀たら彼とデキてたのね?」「デキてたなんて……」「決め手は何だったのかな?」「え……恥ずかしい」「ほらほら言ってごらんなさいよ!」「鎌の……切れ味、かな」なんて遣り取りを目にしながら、拙者はムーン・ウォークでそっとフェイドアウトするより他は仕方がない。はるか向こうのほうで、「ノロケちゃって!」「ヤダーもう!」「いやらしい!」なんて女子どもの遠い声が聞こえる……。 |
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| こういうときは、聞きたくもない言葉ほど拾ってしまうもの。だが、自らのデビルイヤーを呪ってみても苦しいだけ……拙者はもう聞きたくないのに、梅軒のヤツは調子に乗って「俺の鎌はお銀と忍術の二刀流だ・か・ら♪」などとぬかすではござらんか! いやはや、忍びの女子はそういったセリフに滅法弱い。ほら見たことか、梅軒のヤツを見つめるお銀さんの美しさといったらもう! ぐぐぐ、泣くな半蔵!……あしからず。 |
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| 本日の教訓は、ズバリ「同窓会には期待してはならない」でござる。初恋は実らないことはほとんど周知の事実であり、その淡い思い出は決して具現化してはならないのだ。何? そんなことは分かってる? その慢心が、その傲慢さが!……拙者のような敗北を産むのでござるよ(涙) |
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