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| 拙者の名は、聞き耳半蔵。日々、忍術を習得せんと精進する一介の忍者でござる。拙者の使命は、山を下りて忍法を使いこなし、男女の"色恋沙汰"を聞き出すこと。何故、忍びの者にそのようなことが必要か、それはお師匠様曰く、人情の機微を知るため。拙者はその尊いお考えに応えるべく、コーヒー忍者を襲名したでござる! |
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| 忍忍。今回は、イケてるスポットお台場(ブームが過ぎた感はあるが)まではりきって来てみたでござる。ゆりかもめに乗り、ヴィーナスフォートとやらにも行った拙者はすっかり上機嫌で、手近なオープンカフェに入った。爽やかなこの季節、多くのカップルが見られ、拙者の聞き耳もピクピクと反応がいい。「いやぁ、でも写メ通りキレイだよね。H美ちゃんて」「ホント?でも、K林君も思ってた以上で驚いちゃった♪」、さっそくそんなやり取りが聞こえてきた……はて? このカップル、甘いセリフを繰り出したものの会話は続かず、基本テーブルの下を見てるでござるよ。む、あれは「ケータイ」と呼ばれる文明の利器、あれに夢中だったでござるか。 |
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| こうなったら、聞き耳よりも「目」を使うべきであろう。忍法“バードウォッチングの術”、これしかないでござる。拙者は、懐からNik●nの双眼鏡を出し、バードウォッチング風にあたりを見回した。うむ、液晶画面もよく見えるでござる……ぶっふぉ! こ、これはひどい。彼は、出会い系サイトで他の相手に「これから会えない?今お台場にいるんだ♪」とメールを打ちまくり、彼女は友人に「写メに比べて四割減なんだけど。サイテー。マジ帰らせて。合コンとかないの?」と愚痴メール。カエラ、いや彼らはメールし放題……しかも、「やっぱり台場はイイね」とか言ったり、相手の服装や化粧を褒めたりしやがる! |
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| 遠めだとそれなりに楽しそうで、普通のカップルにしか見えないところがまた恐ろしい。あーあー、すでに彼女の方は彼の電話番号を消した上に、アドレスを「迷惑メールアドレス」として処理しているでござる……やだねったら、やだね。修行の身の拙者には分からぬことではあるが、デートとは男女が仲睦まじく過ごす楽しきものではないだろうか。このような世紀末的な哀しみを感じなければならぬとは! しかし、どうして……。 |
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すると、彼が動いた。「あ、もしもし。おーおー久しぶり!マジ!?こっち来てんの?今?今かぁ……ちょっと待って」とここで彼女の顔を切なそうにうかがう。無論、電話などかかってきていなく、お誘いメールへの好意的な返信による名演技でござる。「高校時代の親友が東京来ててさ。少ししか時間ないし今から会おうぜって。2年ぶりだし……」「そっかぁ。楽しいからすっごく残念だけど……うん、私は大丈夫だから行ってきなよ!」
…とまぁこんな風に洗練された“作りの攻防”に驚きを隠せないわけで、
お台場も急に冷え込んできたわけで。
それで父さん、何か切ないわけで……あしからず。
こんな日は切ないメロディーに身をまかせてみたいワケで…⇒コレ? |
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| 今回の教訓は、「上っ面の関係ほど空しく、哀しいものはない」ということでござる。拙者、正直せつなすぎて帰りはゆりかもめなどという平和な名前の乗り物には乗らず、トボトボと歩いて船で帰りました。いや、船上は風と水しぶきで、涙を隠すにはもってこいでござるな……。 |
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