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恋愛小説『男の本音』
『四回目のデート』(後編)

「え?ダイビングって、潜るやつのことだよね?」
それがマサコの第一声だった。電話越しにも困惑の色をはっきりと確認できる。
「そう。興味ない?ダイビング。やろうよ」
「でもねぇ。髪ガサガサになるでしょ?」
「そうだろうね」
ダイビングできる場所ってかなり限られてるんじゃないの?」
「うん、まあね」
「それでも、やるの?」
「やりたい。でも、一人でやっても意味がないから」
「そう?別に私はその間何か違うことしてたっていいし」
「そこまでしてやりたいとは思わないよ」
「どうして?」
「だから、言ってるだろ?俺はあくまでマサコと一緒にやりたいだけで、死んでもダイビングしたいわけじゃないって」
「『一緒に』が大事なわけね?」
「そう。でも、もしマサコが……」
「ううん。やってもいいよ、ダイビング
「ホント?」
「まぁ、タダだって言うし?せっかくの休みにダラダラするのも、ね」
素直じゃないマサコならではの言い回しだったが、意外にすんなりと前向きになってくれたことは嬉しい誤算だ。

 
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「それで、マサコ明日遅番だったよね?」
「うん。なんで?」
「ちょっと会えないかなと思って」
「え、でも、もうシャワー浴びちゃってパジャマだよ」
「いいよ。待っててくれればいい」
「明日仕事でしょ?」
「半休なんだな、これが。これから電車乗るから、眠かったら寝てて」
「うん。じゃあ、待ってる。あ、ビール買ってきてくれると助かるな」
「オーケー。電車来るから切るわ。じゃ、また後で」
瞬くような光を帯びた電車が、小気味よくプラットフォームに流れ込んでくる。「純粋に会いたいと思うのが一番」、俺はそういう新鮮な気持ちを再認識できたような気がした。

女の本音はこちら→
プロフィール

青木勇気
名刺には「フリーライター」とあるが、実際は自称・他称ともに売れない小説家、もしくは地味なコピーライターだったりもする。
休日(というか、ある意味毎日が休日)は、趣味のフットサルに明け暮れる。
最近ハマっているのは、セガフレードの「ブラッディオレンジグラニータ」。
著書に『梨花、』(新風舎)がある。
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