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朝起きて、ふと私服姿で会うのは今日が初めてだと気づいた。彼女はどんな格好が好きなんだろうか。キメすぎるのは露骨な感じがするし、かといって青山に行くのに力を抜きすぎるのもどうかと思う……それにしても、今回はほとんど一目惚れだった。和弘に紹介してもらってご飯を食べにいったとき、目を細めておいしそうに食べる彼女に思わず見とれてしまった。しかも、彼女の「格闘技大好き人間」という話を真に受けて、ダンベルを買うという暴挙に出てしまうほどいつもの冷静さを欠いていた。和弘は、そんな理由で付け焼刃の筋トレを開始した俺を散々からかった。でも、あいつには本当に感謝している。ここ一年半ほど彼女がいなかったし、心からいいと思える人にも出会えていなかったからだ。
「うまくいったら、Wデートな。あ、当然お前のオゴリだから」と和弘は言った。
そう言った和弘の挑発にも似た激励には、しっかり応えたいと思っている。
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迷った挙句、光沢のある白い半袖のボタンダウンシャツにタイトなラインのジーンズを選び、アクセサリー類は避けてタグホイヤーの腕時計だけに留めた。正直、まだまだ自分をアピールできていない。というよりも、いつになく緊張してしまってどうもそつない感じになってしまうのだ。ただ、会える時間は限られているし、デートも今日で四回目、そろそろアクションが必要なのは明らかだった。とにかく、今回ばかりはなんとなくタイミングを逃してしまったなどということは絶対に避けたい。そんな風にあれこれと考えていたら、部屋の中でじっとしていられないほど落ち着かなくなってしまった。ジャズでも聴くか、俺はそう独りでに呟いて、ラックの中から『キング・オブ・スイング』を取り出した。
待ち合わせの二時間以上も前に表参道に着いてしまった俺は、手近なカフェに入ったり、あてもなく外苑前の方まで歩いてはまた戻ったり、道沿いのブティックを冷やかしで覗いたりして時間を潰した。ショーウィンドウに、白地にピンクのバラをあしらった涼しげなワンピースが見える。そして、あんなのを着たらカワイイだろうな、とぼんやり見ていたそのときに「今日は、少しだけ早く着けそうです」というメールが入った。俺は我に返り、舞い上がっている自分に苦笑した。一分でも待たせちゃいけない、急ぎ足で交差点の角の銀行に向かって歩き出した。
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青木勇気
名刺には「フリーライター」とあるが、実際は自称・他称ともに売れない小説家、もしくは地味なコピーライターだったりもする。
休日(というか、ある意味毎日が休日)は、趣味のフットサルに明け暮れる。
最近ハマっているのは、セガフレードの「ブラッディオレンジグラニータ」。
著書に『梨花、』(新風舎)がある。 |
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