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「あーあ、やっぱり何かできてる」
私は、朝から右の頬にできた小さなニキビが気になっていた。
「あら。やけにそわそわしてない?もしやデートとか?」と同僚の早紀子が横槍を入れてくる。早紀子は、そういうところにものすごく敏感なのだ。
私は動揺を隠せず、「えっと、うん。まあ、そんなところ」とそっけなく答えた。
「服もいつもより気合入ってる感じだもんね。で、どこ行くの?」
「とりあえず、表参道で待ち合わせだけど。あとは分かんない」
私はそう言って、鏡に映る胸元の開き具合を何気なくチェックした。
「いいなぁ。デートなんてもう全然。カレシはどんな人?」
「カレシじゃないよ……まだ。住宅メーカー勤務」
「ふぅん。とにかく、後日談聞かせてね?」
「はいはい」
私は、パウダールームを出ようとする早紀子の背中に向けて言った。
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今日は、四回目のデート。彰さんは、親友の優子の彼氏の友達で、私の「どこかにイイ人いないかなぁ」という嘆声によって紹介された人だ。初めて会ったとき、彼の爽やかな笑顔が印象的だったのをよく覚えている。一方、彼は彼で私のことを気に入ってくれたらしく、その後も頻繁に電話やメールをくれた。ただ、私と彼は休みの日がなかなか合わず、デートとはいってもまだご飯を食べにいくくらいのものだった。彼は優しくて話も面白いけれど、どこか私をうかがっている様子で、実際どう思われているのかは分からない。私自身、好感を抱いているものの、特別に意識するコンディションには至っていなかった。
「それじゃ、お先に失礼します」
私は、申し訳程度の残業を終えて上司に挨拶をした。
帰り際に早紀子を見ると、案の定「あら、早いじゃない?」というしたり顔をしていた。私は、いたずらっぽいウインクを返してオフィスを後にした。今日は彼の休みの日、私が遅くなってしまうのは申し訳ない。でも、これなら待ち合わせの時間よりもちょっとだけ早く着きそうだ。私は、携帯を取り出して「今日は、少しだけ早く着けそうです」とメールを入れた。表参道まで地下鉄で十五分、今日はその時間がやけにもどかしく感じられる。
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青木勇気
名刺には「フリーライター」とあるが、実際は自称・他称ともに売れない小説家、もしくは地味なコピーライターだったりもする。
休日(というか、ある意味毎日が休日)は、趣味のフットサルに明け暮れる。
最近ハマっているのは、セガフレードの「ブラッディオレンジグラニータ」。
著書に『梨花、』(新風舎)がある。 |
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